45 茶のみ

 ある殿さまが非常にお茶のみ好きで、ほして、
「この城下に、どのぐらいお茶のみする人いだ」
 ていうわけで、余計お茶のんだ人には褒美を出すというたって。
 したらば、あるトンチのええ人が、お茶の実ば一斗五升かついで、
「一斗五升のお茶の実でございます」
 て行ったど。そして殿さまの前さ行ったわけだ。
「いくらのお茶のみだ」
 て聞いだって。
「一斗五升にござります」
「一斗五升なて、ほだえいっぱい入るが」
 ていうたって。したら、
「這えます、這えます」
 て、のたのた、のたのたて這ったていうんだな。そのトンチに殿さまも感服して御褒美くれだったって。どんぴんからりん、すっからりん。
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