43 雪女(つらら女房)ある寒い晩に、そこにじんつぁとばんちゃばり暮しったけど。その寒い晩に、道通って来たれば、道の脇にちょこんと坐ってだ小娘いだっけど。ほして、ほの小娘、 「お前、なにしったんだ」 て聞いだれば、大した話もすね。 「んだら、家さ行って話しろ」 ていうわけで、家さ連て来て、ほしてまず、温かい御飯食ったらええがんべの、ほら、何食べだらええがんべていうたら、 「温かい御飯、きらいだ」 「ほだら、風呂さでも入ったらええがんべ」 ていうど、 「風呂はきらいだ」 ていうわけで。んでも、ほれ、掃除したり、洗濯したりして、小まめに働いっだんだど。ところが、ばんちゃ、 「お前、なんぼなえだて、若い身空で、風呂さ入ねなていらんね」 なて言うわけで、びりびり風呂さ入っだんだど。ほして行ってみたれば、赤い櫛一枚と、雪の塊が一つ浮ぎっだだけだけど。んだから、はいつが雪女だったなぁていうたったなて。どんぴんからりん、すっからりん。 |
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