40 蟹むかしむかしとんとんあったけど。じさま、山さ稼ぎ行ったらば、ヤロコべら、蟹捕めで、蟹ば一生懸命いじったり、いじめだりしったて。可哀そうだなぁと思って、じんつぁ、その蟹ば、何がしの金で買って、家さ持ってきたて。ほして家の川あたりさ放してで、いろいろなもの持って行って食せっかった。ほして、 カニコ ごそごそ カニ来いカニ来い カニコ ごそごそ ていうど、蟹コは出はってきて、もの食うのだったって。 蟹、ほこさ飼ってから、ばんちゃば無沙汰にして、情が蟹に移ってしまったみたいなって、ばんちゃ、非常にヤキモチ焼いっだ。 あるとき、ばんちゃ、 カニ来い、カニ来い、カニコ ごそごそ やったげんども、声ちがうから、出はって来ねがったど。と、ばんちゃも声色使ったど。じんつぁと同じ声使ったれば、カニ出はってきたずも、ほれ。いきなり、おさえてはぁ、殺して煮て食ってはぁ、ほして、甲羅ば竹やぶさ投げて、鋏ば木の股さ引っかけで、身、みな食てしまったんだど。ほして、知しゃねふりしったれば、じんつぁ来たれば、からすぁ、 ガァガァ 甲羅 竹やぶ 鋏ぁ木の股 身は腹の中 て、鳴いっだけど。したれば、じんつぁ、 「んでは、おら家 ていうたったなて。どんぴんからりん、すっからりん。 |
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