38 上洛と下洛―一口話―
少し、
小足
(
こた
)
んね人がいで、いろいろ話聞いっだれば、何々の殿さま、上洛したどの、下洛したどのていう話出た。
「上洛、下洛ざぁ、どういうことだ」
てきいだら、
「上洛ざぁ、登ることだし、下洛ざぁ、降ることだ」
て聞いだど。ほうしたれば、間もなく走ってきて、
「どこそこのおっつぁんが、柿の木さ〈上洛〉したけぁ、間もなく〈下洛〉して怪我した」
て、教え来たって。どんぴんからりん、すっからりん。
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