37 子の運

 むがすむがす、伊勢まいりていうな、みんなした。んで、すばらしい長者の人と貧乏な人ど一緒になったって。ほしてほこぁ、町も宿もないもんだから、神さまの祠をお借りして、ほこさ二人泊った。したら金持の人聞いっだらば、ひそひそ、ひそひそと語る。いそいで帰らんなねと二人思っていたのは、奥さんが二人とも産み月になっていだからだど。んだもんだから、早く帰らんなねがった。
 したれば、
「今晩、どこそこど、どこそこさ二人子ども生まっだ」
 て、神さまだ語っていだんだけど。
「一軒の家さは、青竹三本、授けてきたし、もう一軒の家さは、粟一石、授けてきた」
 ていうことは、長者の家さは青竹三本、貧乏人の家さは粟一石授けてきたていうことだけど。はいつ、ちゃんと金持の人が聞いで、貧乏人の人は何も知しゃねで、むにゃむにゃ、むにゃむにゃて眠っだったて。
 ほして家さ帰ってみたら、やっぱり子ども生まっでいた。
 で、その子ども成人して結婚するようになったもんだから、何となく一石の粟さ引がっで、ほの長者の家で、その貧乏人の家から嫁もらた。ほうしたれば、何とその嫁は働くやら、まず気立てはええやらで、ええ嫁だった。んだげんども、貧乏人からもらったていうの、息子は気に合わねのっだな。ほうしたらとうとう出してしまったんだどはぁ。
 ほうしたれば、出はてって別などこさ、まず再婚したげんども、ほこではまたすばらしい粟一石授がったもんだから、神さまから、どんどん、どんどん、ええあんばいだったて。
 ほうしてはぁ、こっちの家ではぁ、ほの嫁出してしまったげんど、たった青竹三本残ったきりで、その青竹ばさいで、篭など作って売って、やっと暮さんなねぐなったったって。んだから神さまえ授けらっだものって、なかなか逃れらんねもんだて、昔の人は言うたけど。どんぴんからりん、すっからりん。
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