6 巾五間長さ十間の大灯篭―江戸見世物小屋―

 田舎でも少々小金たまるど、江戸見物ていうことになるなだけど。
 ところが、生馬の目もぬくというぐらいで、油断のできねえもんで、特にイカサマ物が多く、気を付けんなねけど。
「さあさあ、五間に十間の大灯篭、見なければ一生の損、末代の恥」
 ていうて呼込んでだけど。そこで在郷太郎が引掛かった。何がしの木戸銭を出して入ってみたれば、なんと、巾五間、長さ十間の道路が切ってあっただけだけど。ほして前から後へ、
「通ろう、通ろう」ていうなだけど。
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