4 手品つかいむかすむかす、上山さ天勝一行が小屋掛げで、手品したればやっぱり、看板にたがわず、空の箱から猫を出したり、水の中さ花咲かせたり、雪を降らせたり、その妙技は目を見張るばかりだったど。 ところがだんだん目録が進んで行 「東西東西、にぎにぎしくお出で下さった皆々様に、ぬれられては申訳も之無く、つきましては、粗品ではございますが、カラ傘一本ずつ進呈いたしますので、お持ち帰り下さい」 ていう事で、みんなカラ傘をもらって帰ってきた。ほうしたれば、約半道ぐらい来たれば、今迄雨降りだと思ったれば、お空さ、お星様いっぱい出でで、雨なの一粒も降ってなくて、もらてきた傘だと思っていたのが、割箸だけど。 手品使いざ、大したもんだていうたけど。 |
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