44 くさいくさいあるところに、とてもトンチのええ人いだけど。ある時、町の飲み屋さ行ったれば、少し足んないような姉コいだっけど。したればほの姉コさ、 「あねちゃん、あねちゃん、十円呉 なて言うたんだど。したれば姉コ、「やんだ」なて言うたげんど、外の女子だに、 「お前、させでも一円、見せたばりで十円だら、ほだいええごどないべちゃ」 なて言わっだけぁ、コロッと横になってしまったんだけど。したれば、はいつ腰巻あげて見だけぁ、 「いやぁ、くさい、くさい」 て言うたきり、一文も出さねけど。見せだな十円よこせなて言わんねくて泣寝入りだけど。 |
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