23 干柿売りと南蛮粉売り

 むかしむかし、関根から置賜の方さ干柿売りに行った人いだったど。
 ところが赤湯から南蛮粉、最上の方さ売りに来たど。ちょうど冬分、川口と中山の間の掛入石んどこで会った。いろいろ、最上の話、置賜の話出て、結果は、
「南蛮粉、おれは売りに行くんだ」
「おれは、干柿売りに行くんだ」
 ほこで、南蛮粉屋と干柿屋、半分半分ずつ取換えだんだど。ほして、
「んだら、南蛮粉なの、ほだえ重たくないから、まず半分南蛮粉、お前な買って行くべ」
「ほだら、お前の柿半分買って行くべ」
 ていうわけで、二人ぁ、交換して行った。ほしてほん時は猛烈な吹雪で、普通の人はみな行き倒れになった。
 ところが、取換えた二人は南蛮粉は温まり、柿は冷えで、ほいづを互いに食ったれば、冷えと温まりとええ塩梅で、二人とも吹きどりに会わねがったって。ほんで、ほこで交換したおかげで、二人とも命拾いしたった。というわけで他の人みな行き倒れになったど。どんぴんからりん、すっからりん。
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