22 大阪の蛙と京都の蛙むかし、井の中の蛙、大海を知らずとか何とかて言うげんども、蛙 ざぁ、あんまり行動範囲があんまり広くなくて、ここにいた蛙はここにしかいないもんだから、ほだえしているうちに、大阪の蛙は、「京都はええどこだ」 ということ聞いだ。また京都の蛙は、 「大阪ざぁ、すばらしいどこなもんだ」 て聞いた。 「一生に一度、んだら大阪見てみんなね」 片方では、 「京都見てみんなね」 ていうわけで、ピョンピョンと跳ねで、ある山さ登った。京都の蛙もほこさ登った。ほこで蛙と蛙が行き合った。 「お前、どっちさだ」 「おれは京都だげんども、大阪ざぁ、ええどこだて聞いてきたから、大阪さ行って、大阪の街見物してみんべと思ってきた」 「はぁ、おれはまた大阪から来て、京都見物すんべと思ってここまで来た。京都ざぁ、なんたどこだ、まだ」 いろいろ話になった。ほして一番高いどこさ、二匹の蛙は行って、お互いに京都、大阪眺めた。ところが、 「なんだ、京都なて、大阪とさっぱり変んねどれ」 京都の蛙は、 「はぁ、やっぱり大阪なて、京都とさっぱり変らね」 て、二匹は、 「やっぱり、自分の生まっだどこ一番ええ」 なて、別っできたけど。どんぴんからりん、すっからりん。 |
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