21 ねずみと蛇

 冬、穴ごもりしったねずみが、白いもの()けで齧ってみたれば、お刺身と同じだったど。うまくて、だんだえ齧って行ったりして、こんど一人ばり齧っても(うか)いもんだから、みんなして齧って、ねずみの村では、はいつ一冬齧って、ずうっと齧って行ったれば、そいつぁ蛇の頭だったど。
 ほうしたら、はいつ聞いた蛇村では、ごしゃえで、
「んだら、ねずみの野郎べら、みな呑んでしまえ」
 ていうわけで、片っ端から、こんどねずみが蛇の仇討ちにあったんだど。
 で、ねずみだ相談したど。
「ほんじゃ、ねずみども絶えてしまう。なぜか、うまい方法ないか」
 て言うたれば、蛇は蛇行するわけだ。右さ行ったときには左さ、左さ行ったときには右さ飛ぶ方法がええがんべていう相談になったんだど。ほしたれば一匹も蛇に()んねぐなったんだど。飛び方によって横っとびすっど蛇に食んねがったど。ほんで大成功した。
 ところがまだ困ったこと一つあったど。蛇に食んねげんど、猫にやらっで何とも仕様ない。
「これ、何かええ方法ないか」
 て、話になったって。いろいろ相談したげんどええ話出ねくて、一匹のねずみが、
「ええことある。猫の首さ鈴つけっどええんだ」
「はいつぁ、ええ」
 て、みな賛成したんだど。
「んでは、その猫の首さ鈴つけ、誰が行く」
 ていうたんだそうだ。して何とも、
「ほんでは、わかんねなあ」
 て言うて、鈴()つけ行くねずみいねがら、今も、猫にねずみはやらっでいんなだど。どんぴんからりん、すっからりん。
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