3 男三毛猫の守り神

 むがしむがし、ある家さ、とてもきれいな嫁さん来たんだけど。
 ところが、だんだん顔色が青ざめて行ぐんだけど。毎朝便所さ行ぐ時、どうい うわけが、三毛猫が()かけで行ぐんだけど。
「なんぼ、なんでも許さんね」
 ていうので、旦那さま、脇差で猫の首はねだんだど。したればギャーッて言うけぁ、便所の屋根裏さ飛んで行って、何がさかぶりついたんだど。よくよく見だれば、屋根裏さ五間もあるような蛇がいて、ほの蛇が若奥さんの生血ば、(べろ)でぺろぺろて吸い上げんなだけど。んだから、だんだん青ざめで来るなだけど。はえ づ見っだ男の三毛猫が蛇から守って呉だなだけど。いやいや、これは悪れごどし たはぁていうわけで、お宮さま建て、守り神として祀ったけど。今でも三毛の男 猫は守り神だて言うなだけど。
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