51 雨の降る孔

 むかしむかし、雨ていうな、こりゃ、昔からあんまり長雨降っど嫌わっで、ほして、雨降ってくる孔だべて考えだ人いた。
 ほして、舎弟と()んつぁと二人して、
「よし、こんど雨降る孔、叩き落すど、家漏ったりなんかしねぇべ」
 と、こういう風に考えて、家のぐるりばりも落してしまうべていうわけで、夜の夜中出はって、一生懸命、長い竿、おっぷり廻した。したればほこさ親父がもどってきて、
「こりゃ、こりゃ、にさだ、何しった」
「雨の降る孔、叩いっだ」
「ほだんどこではわかんね。屋根の上さあがって(はた)け」
 て言うたて。どんぴんからりん、すっからりん。
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