39 嘘つきの災難むかしむかし、嘘つきな少年いだんだけど。ある時、ほれ、山さ行って「狼出た」ていうど、人集まってきて面白いべと思って、「狼きた、狼きた」て、大声たでたれば、百姓の人ぁ鍬ぶんなげたり、鎌ぶんなげたり、あるいは田植しったなやめで、その声のする方さみな行ってみた。したければケロッと嘘だ。「この野郎、ほに、嘘こき野郎」 て思ってだげんど、だまっていた。こんどほれ、その少年が山さ行ったれば、本当狼出てきた。 「狼だ、狼だ」 こんど、なんぼ言うても誰一人来てけねくて、狼にはぁ、喰 「何だ、おかしげな声聞えるなぁ」 ていうわけで、「ほんとに出だんであんまいし…」て村人行ってみたれば、まずはぁ、狼にかぶつがっで、瀕死の重傷で死ぬばりになっていだっけはぁ。んだから、ことの欠けた嘘ざぁ、つくもんでないて、昔の人ぁいうたもんだけど。どんぴんからりん、すっからりん。 |
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