22 雀のふくべんむかしとんとんあったけずま。ある時、ばんちゃが表さ出はて見たれば、小雀がどこか怪我したみたいに、ピイピイ、ピイピイて苦しんでいた。拾い上げてみたれば脇腹、何かに傷つけていたっけて。ほんでばんちゃ、はいつ一生懸命、膏薬貼って呉だり、治して呉 「ほんでは、ここさ押えらっでいるより、自由に飛んで行け」 ていうわけで、ばんちゃが飛ばしてやった。何べんも何べんも首さげるようにしてとんで行ったげんども、二、三日おもったれば、三つのふくべん持ってきたって。ほして裏の洗濯物の糸さ下げて行って呉 「あらら、おかしいこともあるもんだ」 と思って、不思議なもんだと思って、ほのばんちゃ、こぼれっから何とも仕様なくて、一つのふくべんから米あけてみたれば、どんどん、どんどん出る。また次の奴もむっくりむっくり米が出はってきて、ほして、ほの三つのふくべんからとめどなく米出はる。はいつ見っだ隣のばんちゃ、うらやましくてうらやましくて仕様ない。ほして、 「隣のばんちゃん、隣のばんちゃん、なしてほだえ、ええふくべん貰ってきた」 て言うたらば、正直なもんだから、一部始終語った。 「ほんでは、おれもしてみんなね」 ていうわけで、わざわざ雀ばおさえて、怪我させて、ほして治して呉 「ははぁ、こんど、おれさも運がついた」 て、ほうして裏さ行って、ほのふくべんあけて見っど思ったら、中から出てきたものは、蛇とかムカデ、ゲジゲジ、トカゲ、ほうしてはいつはいっせいに出てきて、ばんちゃはぐるぐる巻きにしたど。んだからあんまり人真似ばりさんねもんだて、昔は言うたけど。どんぴんからりん、すっからりん。 |
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