14 和尚と狸むかしむかし、貧乏なお寺あったんだど。そこさ毎晩のように狸遊びに来る。ほの狸もよる年波で、田畑さ行って、ねずみ食ったり、あるいは蛙せめて食ったりするほど、元気なくなってはぁ、和尚さんどこさ御厄介になっていだんだけど。和尚さまも寒いとき火さ当らせ、あるいは自分が法事さ招ばっだり何かえしたとき、いろいろ貰って来て、その狸さ食せで養っていだ。そういうことが一年、二年、三年続いた。狸は、「和尚さま、和尚さま、おれ、こだえ御厄介になって、恩返しすっだいげんど、何ええがんべ」 和尚は、 「いやいや、恩返しなんていらね。こうして仲よくしてるだけで、ええなだ」 て。ほだえしていねうちに狸はぽいっといなぐなった。なんぼ待ってでも、 「何したべ、あの狸、なんぼ待ってでも来ねっだ。どこかで抑えられるか何かしたであんまいし、こりゃ」 て、心配した。ほうしたれば、七年目にひょっこり現わっだ。 「和尚さま、和尚さま」 て、大変喜んだような顔して来たけぁ、「何だ」ていうたら、 「和尚さま来て見たれば、銭ないようだけから、金持ってきた。七年もかかった」 て言うたらば、 「おれは、人を騙して取ったり何かえすんのは造作ねげんど、和尚さま、どっから貰ってくる金もみな浄財だ、きれいなお金ばりだ。ほいつ、盗人してきた金では、和尚さまさもったいないと思って、舟さもぐり込んで、佐渡さ渡った。ほして佐渡の金掘りしったとこの古ワラジさくぐり込んだ砂金、かいつ、つうとずつ集めて、七年かかって、やっとこれだけ持ってきた」 て、和尚さまの前さ出して、 「おれも力つきて、これまでだから、和尚さん、おさらばでございます」 て言うて、すーいと狸の姿なくなって、銭だけそこさ置いて、和尚さまさ長年のお礼して、狸はどこどもなく行ってしまったけど。どんぴんからりん、すっからりん。 |
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