27 鬼六ばなしむかし、ほれ、川が氾濫して、毎年毎年犠牲者出たり、橋流さっだり、畑流さっだり、橋一つあっどええげんど、ていうていだったど。んで、ほの、大工さんが頼まれるわけよ。その大工さんがなんぼ掛けても流さっで、流さっで何とも仕様ない。したれば、ほの鬼が、 「おれ、かけてける」 ていうたど。して、最初鬼にかけてもらって、代金払わんなねわけなんだな。ほの大工さんが、ほしたら鬼が、 「おれの名前あてっど、銭いらね」 ていうわけだど。んだどほれ、なんぼしても大工さんが知しゃねもんだから、名前言んねわけよ。ほだえしてるうち、支払いの期限、だんだえ迫ってくるわけだ。んで、はいつ支払わねうち、ほの橋なくなっど、せっかく大工さんに掛けてもらったていうな、村の人たちありがたく思ってだな、ほいつがいっぺんにしてうまくなくなるわけよ。 ところが、ある時、子どもらの〈わらべうた〉聞いっだれば、その中さ、 おらが村の 鬼六さんが… ていう唄の文句があったど。んだどその鬼の名前わかったげんど、 「鬼八だ」 「んねぇ」 そして次々に、別な名前いうて、最後に「鬼六さん」ていわっではぁ、鬼は山さ逃げて行って、橋だけが残ったんだけど。 どんぴんからりん、すっからりん。 |
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