22 灯篭の由来

 もと〈灯篭〉ていうなは、灯台だったていうのだな。
 関西あたりの浜辺で雑魚とりに行くと、帰り遅くなっど、奥さん連中だ、カガリ火焚いて、「ここさこい」ていうわけで、その火頼まって男衆だもどったもんだ。
 ところが、平まえさ焚くど風吹っとばされる、何だて、だんだえ洞窟みたいなさ焚くようになったど。石のほこらみたいなさ焚くようになったど。石のほこらみたいなさ焚くようになって、あるいはそういう所ないようなときには、囲うようにしたのが、丁度石屋が見っど、あいつば家の前あたりさ置くど、ええでないかということ考えで始めたのが、〈灯篭〉のはじまりだど。ほしてはいつが墓前灯になり、雪見灯篭になったっていうんだな。
 たまたま、この、ある侍が刺客に夜ねられっでいだったていうわけよ。ところがほれ、刺客が来たらば、夜、中庭にきてみたれば、伏兵がいっぱいいで、入らんねていうんだど。笠かぶっていたのが、坐って、じいっと動かねでがまんしていんなが、ほっちこっちに見える。その他にもいたように見えてなれ、
「へえ、こんではとても駄目だ」
 ていうわけでいるうちに、その日は小雨で、笠かぶったないたと見たわけだど。ほのぼのと明け方になってはぁ、殺さねでもどんべと思ったれば、そいつが雪見灯篭だったてだな。
 そんで灯篭て、とっても縁起のええもんだて、んだから、屋敷さは雪見灯篭つくったり、何かいするもんだど。こいつは石屋さんの話だな。
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