21 こたつの由来むかしむかし、日でりつづきで、日でりつづきで、田、みな割っでしまってはぁ、稲は葉っばしおっではぁ、いま少しで枯っでしまうようになったったど。どこの村でも、ほれ、雨乞いで、そっちのおやしろさまだの、こっちの天神さまだのさお詣りに行ったったど。ところが峠までさしかかったれば、何だか人間でないような、あっちからそろり、そろりと来たったって。ほしたけぁ、 「これこれ、百姓、雨欲しくて歩くなだか」 て、こういうわけだど。 「いや、雨欲しくて何とも仕様ない。死ぬか生きっか分んねなだずはぁ、雨降らせてもらわんねべか」 藁をもつかむような気持で、頼んだど。 「よし、今から、おれ、雨降らせてやる」 ほしてほの年は、また、暑くて暑くてなんね年だったど。 「んだらば、雨降らせてもらった他に、つうと涼しくしてもらわんねべか」 ていうたれば、 「よし、今から雨降らせて、涼しくやる」 ていうわけだど。ほうしたれば一天にわかにかき曇って、なれ、雨ぁ降ってきたわけだど。 「いやぁ、すばらしい雨だ、涼しくなった。つうとさらさらイボ出るほど、小寒くなったはぁ」 というわけで、みんな喜んでいたけど。ほんで、 「あなた何さまだ」 て聞いたらば、 「おれはタツだ」 てだど。 「ウの日からタツの日さかけで降る雨は長く続くげんど、なかなか暦のめぐり合せで、ウ・タツさ掛からねから降らんねくていだげんど、ほだえお前だ欲しいごんだら、降らせてやる」 て、降らせて呉だわけだど。 「ウタツさまで、ござったったかす、ありがとうございます」 ていうたど。したらば一人の百姓は、 「あの、まずウタツ様、ウタツ様、涼しくして雨はもらったげんど、冬のさむいのにも、おらだまいっているなだ。なぜか温かくしてもらう方法ないもんだべか」 ていうたど。ほしたらば、 「ある」 ていうたど。 「あなた、されんべか」 「いや、おれぁさんねげんど、せがれささせる」 ていうたど。 「せがれ様ざぁ、何でござる」 ていうたれば、 「タツの子だから、コタツだ。コタツに温かくさせる」 てだど。そんでみな納得してもどってきたんだど。 どんぴんからりん、すっからりん。 |
>>ゆき女 目次へ |