20 義経の毒矢

 義経が平泉で殺さっだなが事実だかも知んねげんど、人々のうちでは、義経が北海道に行き、樺太まで行って、ジンギスカンになったていう、噂まであって、その裏付けとして、こんな話がある。
 北海道のアイヌが、義経に習ったていう毒矢だていう、毒矢の製法が今でも生きているんだど。はいつは何だかていうど、トリカブトの毒矢で、いろいろな毒合せて、効くか効かねか、試すには河原で試したんだど。河原の石さ尻、したえで(腰おろして)、舐めてみっど、ストンと神経やらっで倒っで、水がぶがぶと呑むと、ほんで薄まって生き返えんなだったど。んだから、はいつ舐めてみて、ほういう風にならねど、はいつが熊さ効かねていうことで、羆熊やっつけるにはそういう風な毒矢の試す方法を義経が教えたんだということを、かたくなにアイヌだも語っていっかったていうんだな。どんぴんからりん、すっからりん。
>>ゆき女 目次へ