7 あくぬけの由来隣の酒屋での話。ところが酒の元ていうな、何かどんぐりからとったという話あるんだな。ほして、ほいつで寒水汲んで、すばらしい大きい桶さ、宮川から寒水汲んで、わらじ履きで、若衆たちかつぐんだったずがらな。酒倉さなぁ。 何調合間違えたか、モロミのとき酸っぱくしてしまったんだど。ほうしたれば、ほれ、旦那、ごしゃえで、 「にさ(お前)なの、出はって行げはぁ」 ていうわけで、追 「おれば出はって行げなて言うごんだらば、ええ」 ていうわけで、みんな寝静まってから、囲炉裏の灰、みな入っでしまったんだど。モロミさよ。ほしてはぁ、 「あっじゃなもの(あんなもの)、おれ、みな飲まんねぐして呉だはぁ」 ていうわけで、出て行くとき、腹いせにそういう風にして出て行ったんだど。 ところが、飲まんね勘定して、それからずうっと経ったんだど。旦那行ってみたらば、すうっと、酸っかくなったの、灰で中和してはぁ、モロミがすうっと澄んで行って、上さ、みな澄み酒になっていだっけて。ほして久しく置いだれば、その灰気、みな抜けだったていうわけっだな。灰抜けして、すばらしくおどろいたっていうわけで、その杜氏ば呼び返したっていう話あるんだな。〈灰抜け〉ていう言葉は、〈どぶろく〉から来た言葉だそうだ。 |
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