34 わざわい殿さまの息子が我侭息子だったど。 それが我侭で我侭で仕様なかったから、 あまり我侭だと「わざわい」ざぁ来るもんだから、我侭ざぁさんねもんだと、よく 教えらっだど。 ほうしたところが、「わざわいざぁ、なじょなもんだか見たい」 て言うもんで、これぁ頑張るもんだから、 「そのわざわい捕えて来い」て言わっで、 その家来が山さ行ったごんだど。 そうしたところが、どういう人だったべ、 「ほんじゃ、わざわい見せっから、あえべ」 て言うもんで行ったところが、何拍子ええがったが、 「わざわい見たけりゃ、深山さござれ」 て、やんやん語っていっどこ耳さ入ったどこだど。 ほうして、 「はてな、何だべ」 て、だんだん奥山さ行ってみたところが、そこさ大した大きな獣物(けだもの)ぁ 出できたていうたなぁ、そして首さ縄つけて、わざわい連(せ)て来たてだな。 そうしたところが恐かないわざわいだったど。 んだから我侭さんね、どろびん。 |
(鈴木ともよ) |
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