33 倒れ剥(は)ぎ右ヱ門大工だか、山道通ったところが、侍が倒っでいたていうんだ、死んで。そうすっ ど「よし」て言うもんで大工箱おいて、その侍の服装みな剥(は)がして は 、侍なったど こだも。刀さして、そして殿さまの娘聟になれなて、大工も口はええがったか何 だか、娘聟にしたくてはぁ。ところが何も能なしだからだげんども、何さ向けてやってもええあんばいに やって来るもんだから、殿さま、ますます気に入りではぁ、娘はやんだくて仕様 ないげんども、聟にさんなねて言うどこだけな。 そしてこんどは、何処にか悪い者いっぱいいたから、それ退治に、先立させて やったどこだけな。 そしたところぁ、娘が、それ殺したくてはぁ、聟にすんな剥 ぎ右ヱ門嫌(や)んだくてはぁ、重箱さ毒入っだ「寿司」こさえてあずけてやったどこ だけど。 そうしたところが、悪者来っどこさそれ開けてはぁ、やった。そうすっ ど「こりゃ」と思って悪者食ったら、みな悪者ぁ死んでしまってはぁ、そうすっ ど自分が大勢(いきお)いで帰って来たわけだ。 そうすっどますます殿さまのお気に入りで はぁ、とてもとてもええごんだけなぁ。どろびん三助。 |
(鈴木ともよ) |
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