27 和尚と小僧和尚さま、御法事さ行って来(く)っから、 「裏の六郎太来たたて、鈴貸せて来っかも 知んないがら、絶対に貸してなんねぇぞ」て言うて出て行った。 そこさ六郎太来て、「小僧、ちょっと鈴貸さねが」 「貸さんね、和尚さまに、貸すなて言わっだ、貸さね」 「ちょっこらでええから貸せ」「貸さんね」「和尚さまどこさ行った」 「御法事さ行った」 「んだら御法事から帰って来ないうちに、ちゃんと返すから、んだからちょっく ら貸せ」 「本当にちょっとだぞ」 て、貸してやった。そうしてはぁ、御法事終って、お昼過ぎて御法事終わるだ ろうと思うげども、持って来ねていうんだ。 それから裏の山さ行って見たていうんだな。そうしたところが、一生懸命で踊っ ていた。 「はぁ、小僧来たか、ほんじゃお前もはまれ」 て、無理矢理その踊りさはめらっで、ほうして六郎太仲間いっぱい集まって踊っ ていた。 ザングザング ヒンザング ザングザング ヒンザング ヒンザンタラシのヒンザング 和尚さま ござらねど ねっから拍子がそろわね そしてガランガランと鈴振って踊っていた。そうすっど小僧も仕方ないから、 何にも古い文句知しゃねから、 レイよこせ 六郎太 レイよこせ 六郎太 て、混ざって踊っていた。和尚さま御法事から帰って来て、「小僧、今来たぞ」 て言うげんども、音しね。「はて、おかしいな」と思って中さ入って、いつも鈴置 くどこさ行ってみたら鈴ぁない。 「さぁ、六郎太にもって行がっだな」 と思って、ほうして裏さ行ってみたていうなだな。そうしたら遠いところから カランカランと鈴の音する。ほうしていよいよ現場さ行ってみたところぁ、踊り 狂っていた。和尚さま、 「何だ、この野郎べら」 て言うたれば、 「いや、和尚さま、ござったぞ、さぁ、まず一つはまって踊っておくやい」 て、まず御神酒ぁ出て、御馳走になって、和尚もはまってしまった。ほうすっ ど片方の六郎太は、 ザングザング ヒンザング ザングザング ヒンザング ヒンザンタラシのヒンザング 和尚さま ござらねど ねっから拍子がそろわね そうすっど小僧は「鈴(れい) よこせ、六郎太」。こんどは和尚さま、「鈴の一つはモノ でもない、ふんつぶされんなサンショの棒」て、みんな暗くなるまで踊ったど。 |
(宮下 昇) |
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