23 猿地蔵

 むかしあったけど。山さ団子こさえてもらって行って食ったごんだど。んだも んだから、
「地蔵さま、こんなどこさもっかえってあった。これ、地蔵さま、こがえして置 がんねがら、場所のええどこさ地蔵さま移し申さんなね」
 て、かつがっでから、じじぁ目覚めたもんだも。
「おえんさ、おえんさ」
 て、川漕いでみんな渡って行くとき、
「猿ぷんぐり濡らすとも、地蔵ぷんぐり濡らすな、おえんさ、おえんさ」
 て行った。よいおじいさんはそのままこらえて、そしていろいろなお供えもの 猿ぁお供えして帰って行った。
「まず、今日はええことした」
 て、ええじんつぁは、そいつ一背負いもらって来て、そうすっど隣のいじわる ばぁさん来て、
「なじょなごんで、そがな持って来た」
「おらえのじじちゃ、こういうごんだ」
 て言うもんだから、隣のいじわるばばの、じじなの山さ行くこともないな、団 子こさえて、よけいに粉まで持たせて、
「食うべど食ねべど、粉だけ塗って寝てろよ」
 て教えたど。そうすっど食(く)だくない団子食ったせいでもあったか、匂いのええ な放したごんだべ。そうすっど「地蔵さま、屁たれるはずない」て、ザブンと投 げらっだけど。どろびん。
(赤木精作)
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