18 お糸唐糸むかしあったけど。お糸というのが先妻の娘で、唐糸とていうのが後妻の娘で、 そして父親が旅さ出かけて、半月も帰って来ねがったんだな。そうすっじど継(まま) かかがお糸憎くていびるんだが、妹が姉孝行でな、姉かばって呉れっどこだけな。「こういう御飯食せっから、姉さばり盛ってやっから、そこ食うなよ」 て、御飯さ毒入っで唐糸さ教えっど、唐糸は姉のお糸ばかばってやるんだけな。 そういう風にしているうちに、どうしても死なねもんだから、トビラ落し、夜 眠ってだとこさトビラ落しを仕掛けて、 「晩げこいつ落すから、姉ちゃんどさ寝ていねで、こっちゃ寝ろよ」 て言うたら、それもこっそり姉ちゃんに教えるわけだど。そうすっど夜中にト ビラ落し、ドッと落すど、つぶっで死んだと思っていっじど、やっぱり死んでな い。そうして何しても死なねもんだから、そのお父さんの留守に姉ちゃん背負っ て行って、山さ埋めて来っこんだけな。そしたら妹が姉ちゃん、箱さ入っで背負っ て行くつもりだ。そうすっど箱の角さ孔あけて、ヤキメシ握ってあずけて、 「この孔から御飯粒、ポロンポロンと落して行げ」 て、妹教えるわけだ。そうしたところが、御飯粒ポロンポロン、落して行った ごんだけど。そして埋めて来たから、そうすっど妹、御飯粒探(た) ねて、次の日ずうっ と尋ねて行ったど。そうすっど。 「あねちゃ、あねちゃ」 て呼ばっど、中で「はーい」て音するごんだど。そして一生懸命で手で掘って いたところが、刀さした侍が通りかかったど。そうすっじど、「何しった」て言う ど、「姉ちゃん、姉ちゃん、ここ埋めらっだ」て泣き泣き掘るもんだから、侍刀で 木伐って掘って助(す)け だごんだど。ほうすっど、 「こがな、おかちゃんでは行ったて何されっか分んねから、おらどこさあえべ」 て言うもんで、侍の家さつれて行ったど。そして二人ともそこで住まっていた どこだな。そうすっどお父さんが帰って来て、 「子どもら、お糸唐糸どこさ行った」 て言うが、 「どこさ行ったか、居なぐなった」 こんどはお父さんが子どもらむごさくて、毎日々々泣いているうちに、座頭に なってはぁ、毎日考えているうちに六部になって鉦(かね) 鳴らして子ども探ねに出かけ たど。そしてどこさ行ったか行ってみたところが、その親父言うには、 お糸唐糸いたならば この目はパッチリあいて見たい て言うて、鉦鳴らして行ったら、そこ通りかかったら、子どもら聞きつけたど。 「なんだべ」 て出てみたところが、やっぱり自分の親父だものな。して、「父ちゃん」て言う じど、目パチッと開いたもんだど。そしてはぁ、その後楽しく暮らしたていうけ ど。どろびん。 |
(鈴木ともよ) |
>>米沢市簗沢の昔話 目次へ |