14 瓜姫子

 瓜姫子のお母さんが、
「町さ用達しに行って来っから、留守番してろ、天邪鬼来たたて決して戸開けん なよ」
 て言うて、出て行ったて。そして機織りしったて。したら天邪鬼来て、
「瓜姫子、遊ばねが」
「遊ばね、おれ、機織れて言わっでだから、機織んなねから、遊ばんね」
「おれ、機織っどこ見せねが」
「見せらんね」
て、瓜姫子言うたて。
「ちいと戸隙開けて呉ろ。指入るくらいでええから、隙開けて呉ろ」
「こんでええか」
「いまちいと開けて呉ろ。いまちいと」
 て言うたところぁ、手びりびりあけて入って来て、とうとう食い殺さっじゃ。 そして瓜姫子に化けて機織りしたって。母ちゃんが、「瓜姫子、今帰ったぞ」
 て帰って来た。そしたら機織ってっけんども、どうもいつもの音と違う。 そしてよく聞いたら、 おさの音が、
   瓜姫子のハタさ
   天邪鬼はとまって
   キーコパテン
 そういう音立てて、「瓜姫子の機さ、天邪鬼はとまって、キーコパテン」て織っ てる。
「ああ、こいつぁ天邪鬼だな」
 て、ほうして気ぁついて、そこで天邪鬼、化けっだな、叩いて殺したど。
(宮下 昇)
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