10 化物ばなし

「お前は何の化物だ」て言うたら、「狸の化物だ」て言うた。
「狸のキンタマ、八畳敷ていうんだ。本当にそんなに伸ばされっか」
 て言うた。「のばされる」「んじゃ、のばしてみろ」て言うたら、見るみるうち に伸ばしたていうんだ。ほうしたら火所(ほど)の隅(すま) こ、こんなに大きな石が焼けっだて いうんだ。そいつ火箸さ引っかけて、そのひろげたカイッポさ、ポーンと上げて やったら、「あつい、あつい」て、そのカイッポぐるぐるて巻いたど。と、その石 巻き込んで、熱いあついて逃げて行ってしまった。そして行ってみたら、カイッ ポ焼けっぱたして死んでいた。
(宮下 昇)
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