6 いたちとねずみの寄合田むかしあったけど。いたち、せんだん川原さ粟蒔いたど。そして大抵実った頃 だと思って鎌と茣蓙と荷繩と背負って行ったら、一本もないど。ほうして、誰取っ たべなぁと思って、こんど帰りにがっかりして来たところぁ、烏飛んで来たど。からすどのからすどの せんだん川原さ粟蒔いたキチキチ お取りやったか お盗みやんねかキチキチ 「おれぁ、そだなもの盗みも刈りもしない、カァカァ」 て飛んで行った。「はて、困ったなぁ」と思ってたら、犬ぁ来た。 犬どの犬どの せんだん川原さ粟蒔いたキチキチ お取りやったか盗みやんねかキチキチ 「おらぁ、そんなもの盗みも刈りもしない、ワンワンワン」 て行ってしまった。雀も来る、カケスも来る、そしておしまいにねずみ来た。 ねずみどのねずみどの せんだん川原さ粟蒔いたキチキチ お取りやったか盗みやんねかキチキチ 「おらぁ、そんなもの盗みも刈りもしない、チュウチュウ、チュウ」 て、孔さヒョロっと入って行ったど。 「おっか、おっか、ゆんべなの粟餅残りないか」 て来た。 「そげなもの、ゆんべな、皆食ってしまったもの、ないべちゃ」 て言うた。こいつぁ盗んだなと思って、こんど孔さくぐって行って、ねずみ皆 殺しにした。今でも、いたちにかかっどねずみ、ひとたまりもなく食(か)っでしまう。 人のもの盗んだりは決してするもんでないぞ。どろびん。 |
(宮下 昇) |
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