11 猿聟入

 むかしあったけど。三人のきれいな娘いて、いたば猿が来て、
「おれに娘一人呉んねぇが」
「ええがんべ。一人呉れっから大事にしろよ」
 て、そしてもらって餅搗いてもらって、その娘は猿のおかたになるの嫌んだげ んども、仕様ないから、ほんじゃ途中で猿を川さでも入っで、おれぁ戻ってくん べと思って、そのつもりで、
「ええがんべ、ほんじゃ、おれ、お嫁になっから」
 て言うて、嫁に行って、餅搗いて里帰りすっどきに、
「おら家の親たちが臼さ入った餅好きで、その餅御馳走すんには臼がらみ背負っ て行かんなね」
 て言うて、
「ほんじゃ、背負って行んから」て、臼がらみ背負って来たらば、
「あそこさきれいな花咲いっだから、あの花欲しいなぁ」
 て言うたば、
「とってやる。とってやる。んだげんども、この臼背負ってでは、とてもあの花 とらんねから、ほんじゃ、ここさ置くべ」
 その娘言うにゃ、
「臼そこさ置くと土くさくなる。そこさ置かねで背負って、とって来てくろ」
「背負って、よかんべ。背負ってとってくる」て。そして沢さ曲がったらば、臼 がらみ川さストンと落ちて、その娘、無事に帰って来たけど。
(関場)
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