23 あけびの話

 むかし、夫婦あったけど。そしてどっちで死んでも後家とんねことだど。
 そしてるうちに、女の方が先に死んだんだど。そうすっど、男は町に出て、一 人だと泊めっけんども、二人だと泊めねていうのだど。宿屋で。そして暗くなっ ど、泊めてもらいたいと言って行ったど。女のあれを持 (たが) って……。そして、「おれ 一人だ」て言うども、「おれと二人だ」て、女のあれが言うもんだど。持 (たが) って抱い て歩ったのが……。
 そうすっど、しょうなくて、
「むかしはむかし、今は今、離れてくれや、ととべべの皮」
 ていうて、谷底さ投げてやったど。そうすっど、アケビが生えて、今実 (な) ってい るのが、そん時のべべの皮だど。むかしとーびったり。
(高橋うん)
>>米沢市塩井の昔話 目次へ