21 屁たれ嫁

 嫁もらったらば、青い顔してるもんだから、「何だ」て言うたらば、
「おれ、屁つまったもんだから、切なくていたなだ」
 て言うたら、
「ほんじゃ、たれろ」
 て言うたど。
「ほんじゃ、みんな炉椽おさえてておくやい。柱おさえてておくやい(下さい)」
「何だておら家んどこの嫁、そのように屁たれんべか」
 と思っていたらば、うんとたっじゃなて。そしてこんど、
「お前、とても屁たれる嫁、置かんねから、帰ってもらわんなねなぁ」
 なて、そしてその嫁、
「おれも悪れから仕方ない」
 荷物いっぱい背負って帰って来た。そん時、途中で子どもら梨もぎしった。高 いもんだから、もがんねでいたとき、
「おれもいで呉れんべちゃえ、造作ないから」て、もいで呉 (く) っじゃってよ。そう したらば、尻ぐらりむくって、そうして屁ぶうぶうたっで、もいだので、その梨 は屁くさくて食んねがったど。どーびんと。
(伊藤せう)
>>米沢市塩井の昔話 目次へ