18 和尚と三人の子どもある日、学校から子どもら三人が帰る途中、一本の大きな木の上に、何かの巣 がかけられっだどこ見つけた。んで子どもは、「あの巣、一体なにの巣だべ」 て聞いたら、太郎は、 「あいつはカラスの巣だべ」 といった。ところが次郎は、 「いや、カラスではないぞ、あいつぁはニワトリの巣だべ」 「ニワトリはあがえなどこさ巣作りすねぇべちゃ」 ほうすっど、こんどは三郎が、 「あいつはツルの巣だ」 ていうことで、みんながおのおのの自分の言ったことで問答した。「おれはツル の巣だ」「おれはニワトリだ」「ほんねぇ、あれはカラスだ」て、まず喧嘩が始っ てしまった。すると向うから一人、和尚さまが歩いてきた。んで、子どもら三人 が、 「和尚さま来た。あの和尚さまに聞いてみよう」というわけで、三人が止めて、 したら、 「和尚さま、あの巣は一体何の巣だべ」 和尚さまは何も言わなかった。 「おれは、カラスの巣だていうた。次郎はニワトリの巣だていうし、三郎はツル の巣だていうた。一体あれは何の巣だべ」 したら、和尚は、 「いやいや、お前たち、あれはお前のいうのは皆当っていた。喧嘩なのする必要 はないのだ。実はな、鳥というのは、木に巣を作る場合、一匹では作んねもんだ。 二羽でなくては巣というものは作んねもんだから、ニワトリも当りだし、二羽の 鳥がメスとオスでつるんで卵を生む。そして育てるもんだ。そして子はもうすで に大きくなって飛んで行った。今見るところには、鳥はいないようだ。んだから、 今、空巣の巣だ。それで三人の言い分はみな当っていんなだから、喧嘩しないよ うにな、仲よくして帰れよ」 て言って、和尚は行ったど。 |
(平田幸一) |
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