10 クシの化けものあるとき、夜になっど、「キリキリ虫は鳴くぞ、あしたの天気はええぞ」 て鳴いったど。その化けものをゴロビツ(唐戸)さ入 (い) っで寝たところを、フタ して、キリでもってもむと、 「キリキリ虫ぁ鳴くぞ、あしたの天気はええぞ」 て鳴いっだど。 そしてこんど、いよいよキリで孔あけて、そこさ大鍋さお湯わかして、孔から お湯をそそいだ。ドンドンと。そして蓋あけて見たところぁ、化けものはクシ一 枚だったど。クシの化けものだったど。んだからクシざぁ、人の踏まれっどこさ 置くとか、やたらにそこらさ投げておくなって、年寄り衆は言うてたもんだ。ど ろびん。 |
(平田幸一) |
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