7 鱒女房

 鱒をとった子どもらが鱒いたずらしてだから、おどっつぁんが金出して.鱒ば川さ放してやったんだど。
 ほうしたら、ある夕方、女が来て、
「おれんどこ泊めておくやい、宿なくて困ってる」
 て言うもんで泊めたら、それが居ついて、或るとき、あんまりお汁(つげ)拵え上手だから、のぞこんで見てくれんべと思って、のぞこんだって。ほうしたら擂鉢さお尻入っで、ガホガホ、ガホガホて、かましったって。
 ほうすっど、今度は御飯食わねって、そのおどっつぁま。
「何で食わねなよ」
 て言うたら、
「おれ、あんまりお汁うまいと思って、のぞこんで見たら、擂鉢さ尻入れたから」
 て…。助けらっじゃがら、恩返しでもあったべげんど、鱒ざぁ、尾すって、尻尾など無くして、卵、砂さすりかたしてるもんだどら、秋よ。そいつのどこ語っていうんであんまいか。どろびん。

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