10 猫の首に鈴

 むかしむかし、ねずみがいっぱい居て、ねずみの村があった。
 ところがそこさ、たまたま猫があらわっで、次から次と、猫からねずみが()っでしまったど。
「いや、こりゃ、どこの家でも、今日は誰が()っだ、昨日は誰が()っだ」
 ていうて、猫にとられる。ねずみだ集まって、何とかええ考えないべか。こういう風に年取ったねずみが提案したど。したら若いねずみが進み出て、
「そりゃ、ええ考えがある。猫の首さ鈴()つけで、鈴鳴ったら、みんな逃げたら、()んた」
 ほうしたれば、みんなが「賛成」ていうて、大賛成した。
「ほだぇ、ええことない。カランカランて言うたら、小っちゃい孔さ入って行けば猫は来れない」
 ところが、年取ったねずみが、
「そりゃええ考えだ。ほだぇ、ええことないげんども、んだら、猫の首さ鈴結つけに誰が行く」
 て、いうなでみんな黙ってしまったど。どんぴんからりん、すっからりん。
(小学校の国語の教科書にあったものである)
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