28 帰らずの山越後に『帰らずの山』ざぁ、あっかっ たどな。その山さ行って、洞穴あるそう だな。その横穴さ行って帰って来た人 ざぁないくて、帰らずの山という。その山さ、ある神主が山さ行かんねと いうことではなんねがら、山の神さ御祈 祷して、冠かむって山さ入って行ったそ うだ。そしたればどこまで行っても暗い。 松明つけてみたところが、向うにヒカヒ カときれいなようなところあっかったど。 そこまで行ったところが、川なのあって、 石なの何きれいなんだか、とにかくええ どこあっかったそうだ。そしたところが、 その脇さ現われたのは、大きな蛇、とん ぐりまって川のぐるりをきれいにしてい るのだっけど。そしてその蛇のいうには、 「越後というとこさ、山にこういう穴あ るどこで、この山さ悪者住まれっこんだ らば、越後というものは、発展できない。 家建つということはゆかない。んだから、 おれは神さまのお使い者で、ここ守って いんのだ」 といわっだど。そして、 「んだから、こういうこと、みんなどこ さ、こういう者いたということ知らさな いで呉 (け) ろ」 と語るのだけど。それから帰って来て 話して、悪者がいつか来て、山さ住むど、 とにかく家なの建つことできねから守っ ていておくやんだど。 |
(海老名ちゃう) |
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