24 五厘かけて一厘

 ある殿さまは一厘の銭を川さ落して、 五人の人頼んで松明つけて、一厘の銭を 川から拾ったど。
「殿さま、五厘かけて一厘の銭拾うざぁ、 どういうわけだ」
 と。そうしたところぁ、殿さまいうに は、
「この金は、水さ入っていたな、世の中 さ出きらんね。お前がたに一厘ずつ上げ たので、みんな世の中楽しくできる。ん だから宝物は世の中さ出さねでいらんね から、こういう風にしたのだ」
 というのを聞いて、みな感心したど。
(海老名ちゃう)
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