7 和尚と小僧

 寺に小僧ざぁ、いっぱいいだったもん だ。その小僧になど食 (か) せないで和尚さま ばり小豆餅のうまいのなの、いっぱい 食ってるもんだから、小僧が後で餅食 (く) た くて、流しさ行ってみたら、小豆餅あっ から、そいつみな食って、
「みな食ってしまったから、和尚さまに おんつぁれる。こりゃ、んだからこんど は、何としたらええか」
 と、賢こい小僧なもんだから、
「ああ、羅漢さまは来て食ったことにし て、羅漢さまの口さ、小豆餅ぬだくって 呉れんべ」
 と思って、ビダビダビダと音してって、 羅漢さまの口さでっすら塗ってて呉 (け) たど。
 和尚さまは帰えやって、小豆餅食うべ と思ったら、さっぱりないわけだ。
「小僧、小豆餅食わねか」
「食 (か) ねなし」
「食ねざぁないんだな、小豆餅いっぱい あっかったんだ。食ねざぁないわけだな、 白状しろ」
「いや、なえだか、流しさドダンバダン と音すっから、何かもの来たと思ったと ころぁ、ずっと仏壇まで小豆ぁこぼっで いたけからな、和尚さま。仏壇の方探し ておくやい」
 といったところが、羅漢さま、口さいっ ぱい小豆食ってやったど。羅漢さまの頭 叩いたって、ゴーンというばりだ。
「ほんじゃ、和尚さま、白状するように 湯は煮立っていたから」
「いや、そげなことするもんでない」
 というたげんども、入ったらば、クッ タクッタクッタクッタと煮立ったど。
「ほりゃ、嘘語んねべ」
 と、和尚さま負けたど。
(海老名ちゃう)
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