31 馬の荷物ある日、毎日、馬で駄賃とりしている 人いて、馬さ、ある時塩付けて橋ぁ落ち て、たんと水ぁ出なかったもんだから、「気付けて渡れよ、気付けて漕げよ」 というて、馬を漕がせたところぁ、石 さつまづいて、馬ぁ転んだそうだ。そう すっじど塩は溶けて軽くなった。 「過ちしなかったが、夜なの痛くないか」 なて、親切にしたところぁ、次の日も また塩つけて同じ川渡ったとき、そこで また転んだそうだ。 「これぁ、この畜生は軽くなったと、こ んどぁ考えてまた転んだなだ」 と。今度は夜、おんつぁっで、うまい ものも食せらんねで、次の日教えて、駄 賃とりも考えて、 「また転ぶに相違ない、こんどしみるほ ど重たいものつけて呉(く)れんなね」 と、俵なのカマスなのつけて、まだ渡っ たところぁ、同じとこでまた転んだど。 そうしたところぁ、重たくなって、やっ と家さ行って、その家でおんつぁっだり して、ずるいことはさんね。馬だって。 |
>>続 牛方の山姥-海老名ちゃう昔話 第二集- 目次へ |