４１　狼と狐　

　ある山に、年取ったライオンが王様に なって、狐だ、狼だ、いろいろ寄せて、
「おれは若返る薬もって来い」
　と。そうすっじど、みんな機嫌とって、 何だかんだと持って行 (い) んけんども、狐だ けは賢いもんだから、そうしないで見っ だところが、狼も、
「あの狐というものは、何じだか、ずる 賢いじだが、何だかで、王様さいっこう 機嫌とって何かよいことなど来ないから、 悪いこと告げてくれんべ」
　と、かたくなにして、
「狐というものは、悪い心もってるから、 王様、あれは油断がなんね。王様など死 んで呉れっどええと考えてるのだから、 いっこう面のぞきなどしないのだ」
　と、狼は語ったど。そうすっど、怒っ てライオンが、
「狐を呼ばって来い」
　と。そうしたところが、狐は一生懸命 で若返るようにと、そっちこっち騒いで、 王様さなの、あがること出来なく騒いで いる。あっちさ行っては何ぁええか、か にぁええかと聞いて、今一生懸命なとこ だ。
　あるとこさ行って聞いたところぁ、こ れは狼の皮剥いで、赤むくれにして、そ の皮を焼いて狼を食うじど、治ると、こ ういう風に教えらっで来た、とその狐ぁ 言うたごんだど。そうしたば怒っていた のさ、狐はそういう風に言うたもんだか ら、王様、御機嫌悪くて、
「ほんじゃ、狼を呼ばって来い」
　と。そうしていた前で、
「おれぁ、狐のこと、そう王様さ言うた から、仕方がないから、王様はそれ食っ て若返るごんだら、仕方がない」
　と言うて、皮剥ったそうだ。んだから、 あまりええこと語って、自分の功あらわ すように、人をけなしてはなんね。
海老名ちゃう
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