39 橋と大根 

「お前はどこさ行ぐ」
「南に大変な高い橋あるどから、見に行 くどこだ」
 と。そして南の人は、
「お前の方に、大変な大きな大根ある風 だという話聞いてるごんだ」
「ほんじゃ、ここで話したらええがんべ」
「まず橋というものは、橋の上から落ち て死んだ人もある。そんでこの橋さ、い つ、足ぁ橋の下さ届くかと思って、尻 (けつ) 掛 けて足出しったげんども、一月 (ひとつき) たっても、 二月経っても、橋から水まで足ぁ届かな い。いつ届くか、そういうことだから、 お前わかんべぁ」
 と言うた。そうすっど片一方の北の方 の人は、
「おらえの方の大根だっても、三四年経 てば南の方まで届くべ」
「そこ考えて、別れろはぁ」
 と、別っだど。
海老名ちゃう
>>牛方と山姥 目次へ