7 笠地蔵 

 せっせと働いて、夕方米買いに行った ところが道傍のお地蔵さまは、雨ぁ降ん に、笠も着ない、蓑も持たないで、頭か ら濡れたとこ見て、
「いやいや、こりゃ米買うどこでないか ら、蓑と笠を買って、かぶせ申してはぁ、 行くべ」
 と思って、買って、まずおじいさん、 そうした訳だごで。
「米買って来ないから、今晩はまず菜漬 湯でもして飲んで寝たらええがんべ」
 と言って寝たところさ、何か音ぁする。 ごもごもと音ぁする。そして段々近づい てみっずど、
「じじ家 (え) 、ばば家はどこだ。じじばば何 処だ」
 ずうもんで音ぁする。
「なえだまず、恐っかないこと。何だか おら家の錠口みたな音するな」
 と、二人ぁガンガンとなって、寝っだ ところぁ、
「やっぱし此処だ、此処だ」
 と言うもんで、ガラリと開けて、じゃ がえんと何か投げて行った音ぁする。そ うすっど、コロコロコロコロなどという 音もする。
 まず夜明けるばり待ちて、そうして朝 げに起きてみたところが、甕さ銭金いっ ぱい、割れて、コロコロコロコロと、ど こざなく転んだ金だったど。
 んだから、正直にすっど、そういう風 に神さまの恵みあるというはなしなぁ。
海老名ちゃう
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