5 蛇むかし山ン中の一軒屋に親子三人住んでいて、 その娘は機織りの上手な娘で、毎晩機織 りしていっど、一度何なもんだか、とて もええ男が姿現わしたど。そうすっど、 どこからこげなええ男来るもんだか、も のはゆげに、俺どこ見て、話もかけない。そして三日目の晩に、そのこと親さ話 したところが、 「不思議だ。こんどはすっかり機でもな んでも、隙なく掛けてみろ」 と。そしたらまた、ある晩来たど。そ したところが、これは不思議なもんだか ら、糸のダンマ(玉)大きく拵 (こしゃ) えて、 そこの先さ針をつけて、男のとこさ行っ て、着物さびっしり刺してやれ、と親が 言って、娘はその通りにしたところが、 ちょっと姿消してしまったど。 そうすっど、その糸のダンマがコロコ ロコ・コロコロと、どこさ転んで行った もんだか、転がって行った。そうすっど 朝げになるばり待ってみたところが、血 落して、ずうっと山さ糸ば辿って行っ たってな。 そうすっど、これは不思議なもんだと 思って、糸をただして行ったところぁ、 大きな蛇は、うんと苦しんで死んでたと いう話で、こんどは、 「いや、こんなものに見込まっで困った。 こらぁ」 と思っているうちに、自然とその家の 人は病気でなくなり、その家も絶えてし まったという話。 |
海老名ちゃう |
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