52 作次さん天王川で大蛇を見る小林弥左ヱ門さんの若名を作次さんという。同人は三十代で死去した人であるが、あるときのこと、米沢城下へ行って来た帰り道、五輪窪を通る頃夕方となった。丁度橋のたもとに大きい木が横たわっておって、上流の方から流れて来たのだろうと傍の棒切れを拾うとその木を突いた。木と思ったのは大蛇だった。長さ八九尺、鎌首あげて向うへ行く、作次さん、怖ろしさに歯も合わず一散に走って帰宅夕食も食べずに寝た。それが原因で十五日ばかり床についた。大蛇と見たのは天王様のお使いものではなかったかという。 |
(露藤) |
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