26 高房神社高房神社へ詣でつ、仰ぎ見れば直々たる老杉その神々しき姿神気身に迫りて、信心自ら湧き来る。少歩にして数階の石梯をのぼりて、暫し神の宝前にぬかづきて祈願をこめぬ。そもそも当神社は下総の国鹿島より移遷したる武甕槌命・健葉槌命の二柱を斉き祭れる神祠にして、上古星神香々背男と称える暴神を討し給うのみならず、夷民蛮習として衣住の道を憂いて倭織の道を教えしとなん、依りて倭文の神ともいうなり。実に恩沢悪徳を追懐して、配下一群の民は更に尊の功績を尊崇し、敬神崇祖の至誠を抽んで奉斉せるものなり。尊さに口吟さむ和歌。うぶすなの神のみ前にぬかづきて おろがむ神や高房の宮 神さびし老木の杉のますぐなる 姿ぞ神の心なりけり |
(和田) |
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