12 鎮守さまに狢巣食う

 ある秋のこと、鎮守さまに狢が子を生んだ。子は五・六匹もいたろう。堂で遊んでいた参詣人はよく見かけたという。
 人が行くと、すぐかくれ、人のいないときには堂の前に出て遊んでいた。狢の子はだんだん大きくなり、大きくなると角力「狢の子」などととっていた。冬になると、追い出されて、入生田西方の野でとられたという。子はどうしたか。
(露藤)
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