112 塩野目の孫八さん露藤の塩野目平兵衛は村でも最も古い家柄であるが、寛永の水帳によれば、二百余石の大家であったという。伊達家の時代に塩野目なる地に久しく居住したるを以って塩野目を姓としたといい伝えられる。同家の記録は火災のために失われた。その後孫八さんの代には零落して竹森の清右ヱ門に働いていた。貧乏こそすれ正直者であった。彼の父はまた油を行商し、ある時米沢から夜おそく帰るとき、下新田村辺で一人の女と出合った。どんと突き当られて、うしろをふり返ったが姿は見えなかった。その日から同家に毎晩どこからともなく砂が降った。しかし二十日ほど続いて、いつの間にか降らなくなった。 |
(露藤) |
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