74 十二支由来むかしとんとんあったずま。ずうっとむかし、唐の国で九月一日は人間のお守(も)り役を決める日だ。こういうわけで、人間のお守り役、おれがなっだい、われがなっだいて、みんななっだい者ばりだった。で、いよいよ、はいつ決まる日が九月一日で、ほんで、 「誰が当たっか、みんな集まって決めんべ」 と、こういう風になったんだど。ほして最終的に決めて呉(け)んのは、お釈迦さまだ。 「んだら、お釈迦さまが決めて呉るまで、みんな九月一日に集まんべ」 て、みんなさ教え合うごとにしたんだど。そして当日、ネズミ、牛(べこ)、虎、兎、竜、蛇、馬、羊、猿、鳥、犬、猪みんな集まった。ほして、 「んだらば、これから決める。一番先はネ、それからウシ、トラ、ウ…」 て、ずうっとお釈迦さま決めて呉(け)だ。ところが九月二日の日に、人間のお守り役決まっからなて、ネズミは猫さ教えたんだど。んだもんだから猫はちょこちょこ行ってみたればお釈迦さまに、 「もうすでに昨日決ったんだ。お前来ねから、人間のお守り役さ混えねがった」 「九月二日て教えたな、うまくないな、あのネズミ野郎」 て言うので、ネズミのどさ行って、 「なしておれさ、九月二日て言った」 ネズミは猫ば妬(しょね)んで、一日ずらして教えだんだど。うまくないて言うわけで、猫が今もって、ネズミばごしゃえで、ネズミさえ居っど、せめて食うのは、こういうわけなんだど。ドンピンカラリン、スッカラリン。 (集成「十二支由来」十二) | >>烏呑爺 目次へ | |