41 富士山と琵琶湖

 むかし、天照大神の兄弟でもあったんだかの神様だったと。天照大神が来て、豊葦原水穂国というどこさ見物に来て、
「あそこはええ国にさんなね」
 と来たったと。来てみたところは、日本中が皆平ばりであったと。それは丁度七代の孝霊天皇の時代だったと。
 一晩のうちに土掘上げて積み上げたのが、富士山で、掘った跡が琵琶湖だったと。琵琶湖は丁度富士山をスポーッと切って入れっど、丁度平らになるんだと。そしてその神は、
「俺は不老不死の薬もって来た」
 と、富士山をカツラ男、琵琶湖を咲耶姫と名付たと。そしてこいつさ薬呑ませっだから、富士山も時々煙出す。そいつは息ついているんだと。煙出さねときは眠っているのだと。琵琶湖も生きてるもんだから、決して減らねんだと。

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